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2011-04-16

隠岐ジオパークの魅力

隠岐・島後北端の白島海岸
 
いまはまだ作業途中ですが、隠岐ジオパークのお手伝いをしています。

1.ジオパーク
ジオパークとは何なのかということを説明しておきます。
ジオパークは、世界遺産の登録、保護などで知られるユネスコ(UNESCO)が実施しているプログラムで、ざっくりと言えば、地質や地形、景観などに特徴のある世界遺産ということが出来るかもしれません。
しかし、この表現は実は適当ではないと思っています。
なぜなら、世界遺産とジオパークは目的が大きく異なっているから。
よく言われる違いは、世界遺産は保護・保全が主目的でジオパークはそれは必要としながらも、地域振興を目的としている点で大きく異なると言えます。

そして、「ジオ(大地)」と冠が付きながらも、その理念などから考えるに「ジオパーク」は「地質版世界遺産」ではないと考えています。
地質はもちろんあるんだけれど、ジオパークとして訴えたいことは地質・地形を基礎として成立している生態系、その恵みにあずかり自然と共生する人の営みがそろってはじめて本物のジオパークであると言えるでしょう。
三層構造


2.隠岐ジオパーク
このようなジオパークになぜ隠岐が手をあげようとしているのか。
それは、隠岐がきわめて面白い地域であるからです。どう面白いか。それは地質的にも面白いそうですし、生態系もまた不思議な様相を呈しています。
そしてなにより、そういう島で生きてきた先人たちの営みと、今島に生きる人たちの次代へつなげようという気持ちです。
地質的な面白さは僕はうまく説明できませんが、日本海が開いたり閉じたりを繰り返し、大陸と陸続きになったり、日本列島と陸続きになったり、そういった過去の記憶を隠岐の島の中では至る所で観察可能だということです。
無理やり奥地に入り込むわけでもなく、道路沿いのちょっとしたところで、遥か昔、そこが海の底であった証拠などが見られるんです。

生態系という側面では、隠岐はいろんないきものの南限であり北限であります。
そのため、多様ないきものが混在する不思議な島となっています。
北方系のモミノキに、南方系のナゴランが着生している、というのもそのひとつです。また、なぜか海端(海抜ゼロメートル)で、亜高山帯植物であるオオイワカガミが自生していたりします。

そして、なにより興味深いのは、こうした自然現象をただ紹介するのではなく、自らの言葉で解説してくれるガイドさんがいます。
「不思議な植生だということはわかった。だけど、どうしてこういう植生になったの? 」
こういう疑問に、ガイドさんはしっかりと答えてくれます。

ぼくが思うに、そこまでできてはじめてジオパークであると思います。
それに、今はまだそこまで行ってないような印象を持っていますが、将来の観光地としてのあるべき姿のひとつだろうと思います。
そこにあるものをただ紹介するのではなく、なぜそれがここに存在し得るのか、そしてそれを保全し伝えていくためには何が必要なのか、そういったことまで包含することが重要になるんだろう。

3.自分ができること
こういう視点を持ち続けて、できるだけ多くの人に共感してもらえるような仕掛けもまた必要。
『ジャイアント・キリング』のタッツミーじゃないけど、チームの仲間がそれぞれ自分が与えられた役割以上の力を発揮しなければ、先行する「観光の巨人(ジャイアント)」は倒せない。
隠岐こそがこれからのエコツアー・ジオツアー、そしてジオパークのモデルである、という矜持を示すことも必要になるだろう。
そして、それを示すこと、共感の輪を広げることにつながるアイディアを出していくことが自分の役割以上を果たすことだと思う。