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2011-06-28

『新人OL、つぶれかけの会社をまかされる』読了


もしドラの大ヒットでドラッカーやマーケティングについて書かれた書籍が大量に店頭に並んでいるわけですが、あまりにも多くて食傷気味。

そんな中、なんとも変わった表紙にタイトルの本がありました。
それが『新人OL、つぶれかけの会社をまかされる』です。

よく考えたら、タイトルも表紙ももしドラの二番煎じと言えるかも……。


舞台はイタリアン・レストラン

登場人物は非常に限られていて人物関係は捉えやすい、非常に読みやすい物語です。

旅行代理店を辞めた新人OLが主人公。
上司と2人、傾きかけたイタリアン・レストランの再建を企画する、というストーリーです。

そこには、ホールマネージャーの協力と、厨房スタッフとの対立もあり、
すいすいと読ませてくれます。

さらに、主人公の親戚というポジションで経営コンサルが登場し、彼がいろいろとヒントを
提供して、物語は進んでいきます……。


マーケティングとは

「マーケティング」というと何か大層な理論がある、と思ってしまいますね。
たしかに、ファイブ・フォースや3C、4Pなどなど考えるためのフレームワークは
たくさん開発されているし、それなりに理論もあるかと思います。

しかし本書ではマーケティングをきわめて単純に記しています。

マーケティング理論なんて単純で、お客様が『どの店に行くか』を決めるプロセスを考えること

そのために、現場を知ることの重要性、コンセプトの重要性が指摘されていきます。

この辺の話は、何も外食産業だけに言えることではなく、すべての事業、プロジェクトにおいて
重要な考え方であろうと思いますね。

僕のようなコンサルでも、どうすればお客さんは自分を選んでくれるのか、
どうすればまた声をかけてくれるのか、を考えること自体がマーケティングの一つです。

それは別の言い方をすればセルフブランディングとも言えるかもしれませんね。


おわりに

物語は、結局ホールと厨房がそれぞれ再建企画案を提示して、最終的にホール案が
勝つわけですが、プレゼンの様子なんかもある意味参考になるかもしれません。

プレゼンの場は原稿を読む場ではなく、価値観を共有しあうことを目的とする場なのです。

そのためには楽しみを提供したり、明るさを演出したり……。


それほど期待して買ったわけじゃないんですが意外にアリだと思います。





2011-06-25

新しい公共モデル事業(島根)



6月23日、24日と二日間にわたって島根県民会館を会場に、「新しい公共の場づくりのためのモデル事業」の公開審査会が行われました。


申請件数を地域別に整理すると

  • 東部:11件
  • 西部:4件
  • 隠岐:2件
の計17件の案件が提案されたようです。


ぼくは、隠岐ジオパーク戦略会議(仮称)のサポートメンバーとして、プレゼンに参加しました。
ちなみに、17件の提案を1日でやり切るのはムリがあったようで、二日間にわたっての公開審査会となっています。
なので、今日もやっているはず。

会場準備中


1.提案内容の主流 | CBSB

途中で席を外したりしていたので、すべてを聞くことはできなかったのですが。
それでも、昨日の10件程度の提案を聞いて、今のまちづくりの主流が見えたように思います。

それが、CBSB。
CBはCommunity Business(コミュニティ・ビジネス)の頭文字を、SBはSocial Business(ソーシャル・ビジネス)の頭文字をそれぞれ取ったものです。

CBSBについては、中国地域CB/SB推進協議会に詳しいです。
http://www.chugoku-cb-sb.net/

コミュニティビジネス(CB)/ソーシャルビジネス(SB)とは|中国地域CB/SB推進協議会


提案された中のほとんどは、コミュニティ・ビジネス的要素を取り入れてるんじゃないかな。

CB/SBという言葉を前面に出して提案したのは、江津市と雲南市。

  • 江津市インキュベーションコミュニティ創出事業~地域×創業人×挑戦の共同体~
  • 雲南地域CBSBブラッシュアップ事業 

事業名を書きだすと、こんな感じですね。

隠岐ジオパーク戦略会議も、内容的にはCB/SBと言えるかもしれませんが、ちょっと違う位置づけである、と自分では思っています。



2.隠岐ジオパークの提案

隠岐ジオパーク戦略会議としては、

  1. ジオパークの運営の中核を担う組織を設立・育成
  2. 組織の継続性確保のために、ファンドレイジングと商品開発実施
  3. ジオパークガイドの質を担保する認定制度実施
  4. ソーシャルメディアを使った情報発信

といったことを提案しています。

細かいことは、もし許可が得られれば作成したパワポでも公開出来ればいいかな~と思っています。

個人的には、今回のモデル事業のキモはファンドレイジングにある、と確信していたので隠岐でもやるべきだと強く言わせていただいて、提案にも盛り込めました。

が、意外に他の案件概要を見ると、ファンドレイジング(寄付文化)について取り組むと提案しているケースはないように思われます。
見込み違いだったのか……?


3.NPO法人を取り巻く環境の変化
審査会が始まる前に、県の担当であるNPO活動推進室長より挨拶と報告があり、それが国会にて寄付税制改革法案が通過した、というものでした。
3000円を100人集めれば認定法人になれる、とかそういった類だと思いますが、まだ調べておりません(汗
NPO活動推進室長の挨拶


手応えは悪くありませんでしたが、こういうものは結果が出るまではわかりませんからねぇ……。

↓こちらは、どちらかというと審査する方から見た公開審査会の様子です。
新しい公共モデル事業の審査会|モリーのスマイル日記


2011-06-21

福沢諭吉の言葉

難い哉、一国の独立を維持するや。


抑も我輩が今日に唱る鎖国とは、数十年前全国に流行したる攘夷鎖国に非ず……外国人に交わるに先づ彼我の分界を明にし、人種に於ても、尚下て居家服飾の微に至るまでも、一切万事、彼れは彼れたり、我れは我れたりと、大見識を定めて、我が欲する所の事を行ひ、我が向ふ所の道を直行して、左右を顧みざることなり。


これは、福沢諭吉の『開鎖論』に出てくる言葉だそうです。

日本という国が独立独歩して世界を相手に渡り歩くかということについて、開国/鎖国を論じているものだそうです。

彼は彼、我は我

なるほど。

『TPP亡国論』 読了


東北大震災で話題としては吹っ飛んでしまった感のあるTPP。

本書の筆者は、そのTPPを推進する立場である経済産業省から京都大学に出向している身分です。
そんな人が、経産省のしがらみを気にすることなく、真正面からTPPに反対している。


1.TPPは愚策
筆者は、TPPの推進は国益を損なう愚策であると断じています。

その具体例は以前書いたような内容です。
参考:Styles: TPP参加の議論が少なすぎる|TPP亡国論 第1章

イメージ戦略として、次のような言葉が踊りました。

  • 平成の開国
  • 世界の孤児になる


しかし、その実態を見ると、日本側から見て輸出相手国となり得るのはアメリカのみと指摘します。

他の参加国はもともとシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドといった経済的には小国同士の連合からスタートしており、彼らが日本の輸出を受け入れるだけの余地はないでしょう。
むしろ、彼らから見れば日本が参加することで、大きな日本市場を確保し、輸出攻勢をかけたいところで、日本からの輸入なんて……。

さらに、期待のアメリカもリーマン・ショック以降、輸出拡大による国内労働市場の適正化を図ろうとしており、日本からの輸入をこれまでのように維持することはないだろう、としています。


2.日本はデフレ
さらに、忘れてならないのは、現在の日本はデフレであるということです。

デフレーション (deflation) とは、物価が持続的に下落していく経済現象を指す。略してデフレとも呼ぶ。
Wikipedia|デフレーション

一般的に、貿易の自由化に限らず「自由化」は価格下落をもたらします。
それは市場に競争力が働くから、ですね。

そして、一市民として見ると、物価が安くなるデフレは「嬉しいこと」だと感じることもあるかもしれません。
しかし、その背後では企業の投資が停滞し、人件費を中心にコストカットされ、経済全体が停滞することにつながるため、デフレは避けなければならない、と考えられてきました。

1-4 デフレって何ですか?より


であるにも関わらず、日本は10年以上もの長期にわたりデフレ脱却ができていないのです。

戦後、どの国の政府も、バブルがはじけてデフレが起きそうになると、金融緩和と同時に財政出動を行い、デフレを未然に防いできました。
『TPP亡国論』,第三章 貿易の意味を問い直す,P.125 

3.デフレと自由化
そんな状況の日本で貿易の自由化を急進的に進める枠組みTPPに参加するとどうなるか。
「自由化」は価格下落をもたらします。

多くの安価な輸入品に対抗するために、国内でも価格下落せざるを得なくなります。
価格を下げるためには、人件費の削減あるいはリストラが行われます。

すると、国内における雇用は一層深刻化します。

雇用がなくなれば消費が落ち込み、企業の活力も落ち込み、さらにデフレへ……となります。

つまり、デフレ下における「自由化」は非常に危険な政策であると言わざるを得ません。


4.石油以上の政治パワーを持つ資源“食料”
近年、食料自給率、エネルギー自給率に関する議論が喧しいです。
危機を叫ぶ陣営があれば、大丈夫、輸入できるので問題ないと安心を謳う陣営もあります。

僕自身は、たしかに一切食料が輸入できなくなるような事態は起こりにくい、と思います。
ただし、輸入価格が今のように安く提供され続けるか、というと非常に疑問です。
経済がグローバル化し、地方と世界が直接結びつくようになった今、どこかで危機が起きればそれは確実に価格に反映されます。

アメリカがバイオディーゼル燃料に注目した後、トウモロコシや穀物価格が上昇したのもそのあらわれでしょう。

この食料について、筆者は
アメリカの農業大国としてのパワーは、市場の構造を考えると、中東の石油によるパワーより強力だとも言えます。
(中略)
中東諸国は(中略)、生産する石油の大半を海外の国々に買ってもらわなくては、国の経済が成り立ちません。
(中略)
これに対して、アメリカの穀物輸出量は大きいですが、国内消費量はもっと巨大です。
『TPP亡国論』,第五章 グローバル化した世界で戦略的に考える,P.189 

と指摘し、アメリカから農産物を輸入している国に対して強気で交渉できると言います。

つまり、輸出をストップせずとも、価格決定権は圧倒的にアメリカ側に保持されることになります。
その時、不当だから買わない、などということはできません。食料は生きていくために不可欠ですから。

そして、高い価格で輸入することになれば、他の国内経済への影響も出てくると思われますね。

筆者はさらに、F1種もアメリカ側に支配されており、農産物の自給は切迫していると指摘しています。


5.おわりに
筆者はこの他に水資源について触れたり、福沢諭吉の『開鎖論』を引用したりして、TPPに関する議論の少なさを嘆いています。

その点については同感ですし、TPPについても反対という考え方です。

今は東北地方の復興でそれどころではない、といったところですがいずれまたTPPは出てくるのではないでしょうか。
その時、また深い議論もなくマスメディア中心に「TPP参加」ありきで世論が形成されることは危ないでしょう。
しかも、農家は悪者にされる、というおまけ付きです。


本当にTPP参加は国内経済に好影響をもたらすのか、デメリットは何か、失うものは得るものは。
それらは急進的枠組みであるTPP以外では本当にムリなのか。

そんなことを考える必要があるでしょう。





2011-06-20

同じものを違う視点から見ることで新しい価値が生まれる

写真素材 PIXTA
(c) taka写真素材 PIXTA




海から見る波根・久手沿岸|ヨミウリ・オンライン


  • 波根
  • 久手

大田市に存在するこの地名。
はてさて、これを読める方はどれくらいいるのでしょうか。

小型漁船に乗船し、波根港を出港。波根~久手地区の海岸線沿いに点在する「こうもり穴」と呼ばれる洞窟や、塔のような奇岩「掛戸松島」などを巡る。
遊覧時間は約30分で、朝と夕の1日2便。9月中旬までで、事前予約が必要。乗船料は中学生以上3000円、小学生1000円。


旅館組合と漁師が連携して、新しい宿泊プランとして「海から眺める波根・久手海岸探索エコ・アド(アドベンチャー)・ツアー」と銘打った商品を打ち出したようです。


こうもり穴というのは残念ながら知らないのですが、掛戸の松はなかなか良い風景です。

個人的なおすすめは鉄道から見る掛戸の松ですが、船から見るのはまた違う風景となるでしょうね。

ちなみに、久手には「珪化木」がありますので、それも一度ご覧になるといいかと思います。

珪化木とは、植物が化石化したものとのことです。

2011-06-15

マキャベリ語録

君主足らんとするものは、種々の良き性質をすべて持ち合わせる必要はない。しかし、持ち合わせていると、人々に思わせることは必要である。

ニッコロ・マキャベリの言葉で好きな言葉のひとつ。

特に後半の一文ですよね。

ただ、この時「人々」が警戒しなければならないのはポピュリズムに陥ること。

最後は”ひと”


ジオパークという言葉を今、日本人はどれくらい知ってるんでしょう?

それくらい、まだジオパークに対する認知度は低いと思います。


ジオパークがメジャーでない理由を再度考えてみる

国内では先進的な取り組みを展開し、日本で初めて「世界ジオパークネットワーク(GGN)」に登録された糸魚川ジオパークでもなかなか共有されていないようです。


翻って、隠岐ジオパーク。

今回このようなニュースが飛び込んできました。

隠岐ジオパークのロゴマークを募集しています。|島根県

世界へ発信!隠岐ジオパーク ロゴマーク大募集!


このロゴマークの募集についてはずいぶんと前から「やりましょう」という話をしてきてました。

今回のニュースで、また一歩前に進みました。




実は、隠岐に来られて、ガイド付きで島内を巡られたお客様は大変喜んで帰っていただけているようなんですよね。

「全国の島々を巡ってきて最後に残っていた隠岐に来たら、一番良かった」
「屋久島もすごいけど、隠岐はそれ以上」

こういう言葉が聞かれるそうです。


隠岐自体にはそれくらい人を惹きつける自然や歴史、風俗、人、景観があるんですね。

そして、隠岐では7年ほど前、「エコツーリズム」なんて言葉がブレイクする直前くらいの時期からエコツーリズムを推進してきてます。
それも、島の人が講師となって、島の人に島の魅力と価値を伝えるという手法で。

そこには、島の大人が、子どもたちに、島を出ていっても隠岐を誇りに思っていてほしい、という思いがあるんです。

そんな活動をしていたら、ジオパークというものに出逢い、隠岐の思いとジオパークの理念が重なり、目指しましょう、ということになって現在に至ります。



そんな隠岐にも、客観的に見るとまだまだ足りないものがあります。


  • 情報発信:ウェブの未活用
隠岐ジオパークって何!?から始まり、隠岐ジオパークに協力したいと思う人も、今何やってるか外からではわからない、という課題。なにより国内ジオパークでHP持ってないのが隠岐だけ、というのは至急なんとかしないと

  • 共感の環:
隠岐ジオパークに至る経緯を考えると、島の人たちにこそよくよく知ってもらい、ジオパークを楽しんでもらわなければなりませんが、上記ブログにもあるようにまだそこまで盛り上がってもいませんし、ジオパーク!というほどの一体感も感じられません


  • ビジネス化

隠岐ジオパークを推進するだけではなくて、その効果を広げるためには、ホテル・旅館、タクシー、農家、漁師、土産品店、行政、観光協会ありとあらゆる人と関連づけないといけないと思います。具体的な協力体制は置いておいて、お互い「ジオパーク」をキーワードに話ができる関係性を創り上げること。そこから「ジオパーク」をテーマとした島内の異業種交流、商品化・ビジネス化が見えてくるでしょう。現状の特定の方が知っている、話をしている、だけでは不十分


  • コーディネーター
そういう話を”つなぐ”人材がほんとはほしいところですよね。ジオパークの理念を理解しつつ、ビジネス面にも精通する、あるいは精通している人とネットワークが構築できる人。一番難しいかもしれません


このようにパッと思い浮かべただけでも課題はあります。
さらに、GGN登録に向けた手続き的な課題もあります^^;


しかし、こういう地域づくり、まちづくりに関わっていてつくづく思うのは、最後は「ひとの魅力」に行き着くんですよね。
魅力だけじゃなくて、能力・資質も含めて、ですが。

力になりたいと思わせることもひと。バリバリ動いて突破していくのもひと。黒子的に縁の下の力持ちもひと。外部からあれやこれやと注文を付けるのもひと。

ひとの力をうまく統合できると大きなうねりとなってムーブメントになるのでしょうね。

2011-06-10

コンサルタント



自分の仕事に誇りを持てるって、人生に大きな影響をもたらすと思いませんか?


まちづくり系コンサル、地域再生コンサルというものを仕事にしていると、時に迷い、時に自信を失くし、自分がどこに向かっているのかわからなくなる時があります。

自分の仕事を自己評価すると、どうしても厳しめに見てしまいます。

自分の仕事を細かく分解してみていくと、必ずしも専門的な技能は必要ないです※1

何が必要かといえば、「考える」という力と考えることに対するトレーニング。

あとは少しのPCスキルとコミュニケーションスキル。

これがあれば、多分何とかなります。

そして、これって別に特別な技能ではないですよね。誰でもやろうと思えばできる。
資格も不要ですし。


NPO法人

じゃあ、まちづくり系コンサルがたくさんいるか、というとそんなに多くはないでしょうね。

なぜなら、同じ分野には「まちづくり」を目的とするNPO法人等がいます。
彼らの多くは現場を持ち、何とかしたいと考えて設立しているので、強みがあります。

ある意味、まちづくりを志向するNPO法人はライバルでもあるし、ぜひ連携して動いていきたい味方でもあります。

このさじ加減が非常に難しいです。
(さじ加減という言葉にはいろんな思いを込めてます)


まちづくりコンサルはギャランティーが厳しい

個人的な感覚として、まちづくりのサポートを業務とするコンサル業は儲からない、と思っています。
個人事業主として、1人で動くのなら何とかなるかも……と思わないではありませんが、会社としてだと現状はまだまだ厳しいと思います。

自分の力不足はとりあえず棚上げしておくとして、もう少しまちづくりに対するギャランティーは何とかならんもんか、と思う。

案件ひとつにつき30万、工期は8ヶ月 とかざらだからねぇ……。

手を抜くことはないけど、絶対的に動けなくはなるんですよね。。それが申し訳ないという思いと、もう少し何とかならんもんか、という思いと両方がないまぜになるんだよね。


島根にもいわゆるまちづくりのサポートを業務として行うコンサルは複数ありますが、どうやって儲けているのか知りたい(笑)

あと、コンサルというと響きとしてうさんくささ、感じる人多いと思います。
自分がどうかは別として、県内のコンサルでも若手の人なんかは、きちんと考えている人もいるので、コンサルだから、と色メガネで見ずにまずは素直に話を聞く、話すということをしてみてもいいと思います。



隠岐で希少なハイニガナ発見

隠岐の島にハイニガナ 希少なキク科多年草 : 島根 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

また一つ隠岐に貴重な植物が生息していることが明らかになりました。

隠岐の島町でキク科の多年草「ハイニガナ」を県内で初めて確認した。全国的にも数が少ない植物で、「県内での成育を裏付ける貴重な発見」としている。

こういう貴重な植生の分布状況や生育状況を、一度きちんと整理する必要があると思います。

それに基づいて、管理計画、活用方針等を考えないといずれ気づいたら失くなっていた、なんてことになりかねません。

2011-06-07

やればできる・・・はず!


だんだん、だんだん夏が近づいていますね!

梅雨入りしたはずなのに、快晴が続いています。暑くなってきてます。


会社で僕がいる部屋は環境があまり良いとは言えなくて、夏は熱くて(誤字ではありません)、冬は寒いという環境。
それが自然と共に生きることだと言われれば反論のしようがないのですが、とにかく夏と冬は辛い環境です(笑)


1.「農業」に対するイメージ
ところで、自然と共に生きるとはどういうことなんでしょうね。

具体的にイメージしやすいのは、サラリーマン的生活ではなく、やはり第一次産業従事者の暮らしですよね。


特に農業は、その風景も含めてみると日本の原風景とも言えると思います。

この農業という産業は、日本経済界からみるといつも「経済発展の足をひっぱる」と思われてるのではないか、そんな風に見えます。
農業が過剰に保護されているから競争力が弱く、輸入農産物に負けるんだ、という話も聞きますよね。
また、農業はまだまだ非効率的だ、構造改革が必要だ、という話もまたよく聞きます。

でも、これって本当なんでしょうか??





2.効率と有機栽培
まず過剰に保護されている、という指摘については、前回アップした記事にグラフを掲載したとおり、日本は農産物に対する関税がEUよりは高いけどアメリカよりは低い、ということがわかります。
つまり、日本の農家は過剰に保護なんてされてない、ということです。

ヨーロッパでは農家に対する支援がもっと充実している、という話も聞きます。


次に、農業が非効率的で構造改革が必要だ、という指摘についてはどうでしょうか。

「農業って非効率的ですよね~」と、その辺歩いている農家さんに言ってみれば明らかですが、これまでに農業関係者の努力によって、農業関連畑は技術革新を繰り返してきています。
農機具しかり、農薬しかり、化学肥料しかり。
こういった技術革新を重ねて収量を飛躍的に伸ばしてきているのが今の農業です。

農薬や化学肥料に関しては昨今、有機栽培への注目が高まるにつれて疑問を感じる人も増えているようですが、そこはまだ難しい問題があるようです。
田んぼというのは、たいてい何枚も連なって整形されてます。となりの田んぼとうちの田んぼを仕切るものは畦だけ、ということも普通です。

そんな密接した状況の中で、とある人が急に「農薬やめた」と言い出したらどうなるでしょう。

農薬をやめれば当然害虫が付き、稲は被害を受けます。
その被害も、やめた当人は覚悟のうえだから問題ないでしょうが、畦ひとつで隔てられたとなりの田んぼの所有者はどうすればいいのでしょうか。
害虫が「となりの田んぼは他所の人の田んぼだから遠慮しておこう」なんて殊勝なことを考えるでしょうか。

ここが難しいんです。
有機栽培に反対、というわけではないんです。
やるんだったら、まとまった農地を一体的にやらなければ、農薬を使って効率的に収穫したい、という農家さんの迷惑になるんですね。


こんな状況なのに、農業に対して一律的に「非効率」、「構造改革」といったラベリングをして、“遅れた産業”とういイメージを植え付けることは許されないですよ。


3.平地と中山間地域

そもそも、日本で農業を考えると、二つに分けて考える必要がある、と考えています。

ひとつは、平地農業でもうひとつが中山間地域での農業。

平地であれば農地の集約も比較的容易だと思います。
集約して一枚あたりの面積が大きくなれば機械を使用してコストは圧縮できるでしょう。

しかし中山間地域では農地の集約そのものが困難極まりない。
農地1枚の面積が1ヘクタールある農地なんてそうそうないです。
小さな田んぼがいくつも段々に連なっている、それが中山間地域の農業です。

実際、ぼくの祖母が持っている田んぼは本当に猫の額くらいの田んぼもあります。歩いて10歩くらいで端まで行ける、そんな田んぼだってあるんです。
圃場整備もしていません。


4.全部やっちゃおう!

平地と中山間地域では条件が違いすぎる、という認識は必要だと考えます。

平地は規模を拡大する方向性もあり得るかもしれない。

中山間地域は規模拡大はあり得ない。それよりは、美味しいお米や野菜を作る、ということに加えて、いわゆる農商工連携や6次産業化の取り組みが必要となると思います。

要は、中山間地域でも「素材」だけを生産・供給していては今後立ち行かなくなるということ。
中山間地域が食糧の生産拠点となり得るのであれば、ただ生産するだけでなく、ちょっと加工しましょう。ちょっとオシャレな雰囲気も取り入れましょう。
それが都市に住む人にとっては魅力的に映るかもしれないから。
それに、本当に美味しければ必ず認めてくれる人があらわれると思うから。



なんてことを考えるんだけど、なかなかうまく伝えられんね。。。

2011-06-03

TPP参加の議論が少なすぎる|TPP亡国論 第1章



寝る時間がちょっと微妙な感じなので、今読みかけている『TPP亡国論』を少しだけ整理してみようと思います。


1.TPPとは何か

東北大地震でやや吹っ飛んでしまった感のあるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)とは一体どういうものなのか。
スタート時の加盟国を見るとその性格が見えてきます。
なお、資料は内閣官房作成の「包括的経済連携に関する検討状況」という資料。

TPPがスタートしたのは2006年。
その時の加盟国は、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの四ヶ国で、その四ヶ国の間で締結された自由貿易協定が発端となっています。
TPPは、この四ヶ国間自由貿易協定を、広く環太平洋諸国に拡大しようというものです。
そして、その性格は関税は全品目について撤廃を目指し、対象もサービス、金融、人まで含む包括的な協定となっている、自由化の程度が進んだ協定と言えます。

2010年、この四ヶ国にアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムが加わり、八ヶ国でより広域的な連携協定を目指すTPPの交渉がスタートしました。
さらに2010年10月からはマレーシアも加わり、9ヶ国で議論が進んできたというものです。

TPP交渉国で、日本の輸出相手となり得る国があるでしょうか。
アメリカ、オーストラリアくらいではないでしょうか。
その他の国は経済規模の小さな国々で、日本への期待は「日本からのメイドインジャパン製品の輸入」ではなく、自国商品を購入してくれるジャパンマネーではないでしょうか。
図2 TPP交渉参加国のGDP規模の比較(TPP亡国論,P.32)



2.なぜ日本が飛びついたのか

自由化の度合いが強い、急進的な協定になぜ日本が飛びつこうとしたのでしょうか。
それは、自由貿易協定(FTA)に出遅れた、と認識されているからです。
とくに、主要貿易相手国であるアメリカ、EU、中国との取り組みが遅れています。他方、韓国はこれらの国と積極的に交渉し、アメリカとは合意に至っており、それが「出遅れている」という認識につながります。

ちなみに、日本が進めているEPA(経済連携協定)もFTAの一種ですが、二国間あるいは複数国感の協定で、協定から除外する品目なども含め、柔軟な交渉によってお互いの国の実情に応じたルールづくりがしやすいものです。
EPAと比べると、急進的なTPPは品目除外等は原則認められないだろう、という推測がされています。


3.TPP参加が「開国」 不参加が「鎖国」なのか

TPPへの参加に関する議論としては、開国か鎖国かといったような論調も見られました。日本経団連の米倉会長は参加しなければ日本が「世界の孤児になる」と放言したこともあるようです。
開国・鎖国という単純化した話は馬鹿げていますが、それでも開国・鎖国を客観的に判断するとすれば、貿易を行っているかどうか。さらに貿易時の関税率などから推測できるのではないでしょうか。

ということで本書では主要国の関税率を示しています(下図)。

図1 主要国の関税率(TPP亡国論,P.26)

まず、全品目平均について見てみると、日本はEUよりは高いもののアメリカよりも低い関税率しかかけていないことがわかります。
韓国は一目瞭然ですね。

次に、農産物の関税率について目を移すと、アメリカよりは高いけれどもEUや韓国よりは低いことがわかります。
(この点について本書では、農産物の関税率試算方法は複数あるので一概には言えない、と指摘)
むしろ、しばらく前に話題になっていた食料自給率を思い出してみましょう。
約4割、38%という数字があったと思います。これは逆に言えば、食糧の6割は諸外国から輸入している、ということになりますね。

関税率の低さ、食料自給率の低さ(笑)から見て、日本は「鎖国」といえるのでしょうか。
またこのような状況下でTPPに不参加を選択すると、それも「鎖国」となるのでしょうか。

参加しないと「世界の孤児」になるのでしょうか。


4.TPPに参加するメリット

国はTPPに参加することで得られる、期待できるメリットのひとつに、成長著しいアジア市場を取り込む、というものがあります。
しかし、一般的に「アジア市場」といったときに想起されるのは、中国、韓国あるいはインドといった国々ではないでしょうか。

しかし、これらはいずれもTPPに参加していませんし、本書では中国・韓国の参加の可能性は著しく低い、としています。
中国の場合、人民元問題を抱えるような国が完全自由貿易を目指す枠組みに参加する可能性は低い。
韓国の場合、アメリカとFTA合意しているように、基本的に二国間で交渉できるFTAが国益になると判断しており、複数国間で調整が必要になるTPPにはメリットを感じないでしょう。

つまり、TPPに参加してアジア市場を取り込もうという目論見すら、怪しいと言わざるを得ません。

もちろん、ネクストイレブンあるいはVISTAに挙げられているベトナムなどに期待する、という見方はありますが、日本の輸出相手国となり得るほどの大きな市場は形成されていません。

さらに、TPPに早期参加することで日本に有利なルールづくりを進める、ということも考えているようですが、本書ではそれも否定されます。
交渉国に日本と利害が共通して連携できる相手国が見当たらず、結局アメリカがルールづくりの主導権を握るだろう、としています。



2011-06-02

不信任決議案は必要だったのか


6月2日(木) 15時過ぎでしょうか。

自民党、公明党、みんなの党から提出された、菅内閣に対する内閣不信任決議案は、反対多数で否決されました。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110602-OYT1T00729.htm?from=top


内閣不信任決議案提出について語るには難しくて、自分は被災地から遠くはなれているから冷静に考えられるけど、被災地の声はどうなんだろう?
そう思ってヨミウリ・オンラインなど見てみた。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/news/20110601-OYT8T01125.htm
「与野党が一致団結しなきゃいけないときに内閣不信任決議案の提出だなんて。本当に被災者の生活を考えているのか」。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20110602-OYT8T00121.htm
不信任決議案を提出した自民党内も困惑する声が漏れる。県連会長の小野寺五典衆院議員は「菅首相では駄目なことは分かっているが、このタイミングで提出することには、被災者のことを考えると複雑な思いだ」と述べた。


そんなことしてる場合じゃないだろう!

そうだよね。
普通に考えれば、いま政局に持ち込む時ではないだろう。

そう考えると、今回の決議案提出に動いた自民・公明・みんなの党は、主に被災地を中心に信頼を低下させることになったでしょうし、裏返せばそこの民主党選出議員は相対的に支持を高めるかもしれない。

他方、民主党は昨日から今日の午前中くらいまでは、小沢・鳩山による大量造反で賛成に回ると思われたが、直前で鳩山さんが党の分裂回避ということで反対に回った。
小沢さんは欠席。

「党の分裂回避」と言えば聞こえはいいが、鳩山さんがやったことは、何のことはない。
今までどおり、また「ブレた」ということでしかない。

つまり、民主党も信頼を低下させることにしかならないでしょう。


菅総理の党首討論の答弁なんて、聞いてるとほんとに情けなくなってくる。
聞かれていることにまともに答えないなんてザラですからね。

こういう時期に、このようなドタバタ。これを見る中学生、高校生はどう感じる?
こうやって政治不信は再生産されていくんだろうな。


06/03 AM1:30 追記

今回の国会中継を見ていて衝撃的だったのは羽田孜。
ああいう状態の政治家が影響力を行使するというのは、どういうものなんだろうか。

あの姿を見て、被災者は頼りになる政治家、と思えるのか。
僕は到底思えない。

それに、「一定のメドが付いたら退陣」というのもきわめて曖昧模糊とした表現であるのでいつまでも「まだメドがつかないので」ということはできるよね、という話。