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2012-02-17

ひとの「つながり」の創出と強化が地方が目指すべき方向

地域再生を仕事にしながら感じていることは、地域においては何よりも「ひと」の存在が重要である、ということです。
それは以前にもこのブログで書いてきたことです。

2011.06.15|Styles: 最後は”ひと”

2012.01.29|Styles: 地域の本質は「ひと」だと思う

さらに、この「ひと」という点に着目して、都市(東京)と地方との格差を認め、重要である「ひと」が集まっている東京の力はすごいよね、ということを書いた。

2012.02.07|Styles: 東京いいね


東京すごいよねと書きつつも、じゃあ地方どうするの?と考えていたんだけど、ふとアイディアレベルですが、つながったので書きなぐってみる。


つながったキーワードをあげておくと「ソーシャル・キャピタル」と「ファンドレイジング」。


NPOセクターの優位性:ソーシャル・キャピタル

地方には、地方再生の最前線には本当に魅力的な人、精力的な人がいます。
だけど、絶対数で言えばやはり東京に人材が多く集まってるんですよね。そこは僕は否定できない。
考えるベクトルが違う、とかはあり得ても能力的には否定できないです。

ただ、これまでに書いてきたことで欠けていた視点があったな、とも気づきました。
それは、「ひと」が集団として組織として動くときの力であり、動くための基礎的な力。

この力はソーシャル・キャピタルと読み替えることができると思います。

「信頼」や「ネットワーク」、「互酬性」といったもので構成されるソーシャル・キャピタルは、都市部の経済組織よりも、NPOセクター、地方における公益的組織の方が醸成されているのではないか、と考えています。

経済組織の強みは、端的に言えば投資に対するリターンをいかに効率化・最大化するか、という点について洗練されているところだろうと思います。
まあ、必ずしもそうとは言えない面もありますけど、一般的に言ってそうだろうなと思う。

対するNPOセクターの強みは、「つながり」を生み出し、拡大させていくことを目的としている点だと思います。
もちろん、投資に対するリターンの効率化や最大化という点においても、つながりの拡大という目的に対してもまだ十分な成果を出し切れていないNPOセクターが大半であろうというのもまた否定できないですが。

NPOセクターの強みである「つながり」の創出と拡大、強化は、おそらく2015年から2020年くらいまでを目途に大きくスポットライトを浴びてくるような気がします。
神田昌典さん(『2022―これから10年、活躍できる人の条件』)や竹井義昭さん(『社会貢献でメシを食う』)の本を読んでいても、だいたいこのあたりで、日本社会のシステム上大きな変革が起きそうだ、ということが示唆されています。

そして、その先にある社会は、懐古的な「つながり」ともまた違う、新しい形での「つながり」の上に成り立つ社会である、と僕は予測しています。

それまでに、地域やNPOセクターにおいていかに自分たちの価値観、理念、目的を共有し、さらに共感してくれる仲間を増やせるか、ソーシャル・キャピタルを醸成できるか、が自力をつけて「その時」に対処できるか否かをわけるのではないか、と考えます。


共感を広げるファンドレイジング

ソーシャル・キャピタル(SC)の醸成については、修士論文を書くときのテーマとしたので今でも気になって考えることがあります。
SCは醸成はできる。しかし、どうすれば良好なSCを醸成できるのかという点については十分に検討できないまま、次のような点を提案しつつ筆を終えたんです。


  • 地域内における「共食」機会を持つ。あるいは増やす


これについて参考になるのは宮崎県えびの市の「モエ(もやい)」という講の一種で、モエでは月に1回から2ヶ月に1回程度、モエの会員同士の食事機会を設け、そこで悩みの共有やグチを言い合うなどメンタルの支え合いなどが行われています。

残念ながら、修論の時点ではこれくらいまでしか書けませんでした。

しかし、最近ふと気になったのは、NPOセクターにおいて、マーケティングの考え方を応用したファンドレイジングの導入が進んでいる点です。

ファンドレイジングとは狭義には「寄付金集め」ですが、これは解釈があまりに小さい。

もっと本質的には、自分たちの価値観や理念をわかりやすく伝え、「共感」を得ることであると考えます。

つまり、NPOセクターにおいて「ファンドレイジング」の各種手法を用いて「共感」を集め拡大する。それがNPOセクターを中心としたSCの醸成になるんじゃないのか、と。

ものすごく粗い考え方だとは思いますが、この

ファンドレイジング→共感を得る→SC醸成

の流れの中のメカニズムをもっと理解できれば、単にNPOセクターの組織力、継続力アップだけじゃなく、さまざまな公益的組織でもSC醸成ができるのではないかと思います。
そのNPOに適したSCが醸成できれば、「その時」を迎えるとき、ブレることなく進むべき方向に進むことができる、と思いませんか?


おわりに

やっぱりこのへんは自分でもう少し検討したいな。
お世話になってる先生方にまた意見もらいながら、自分なりに勉強してみよう♪

以前アップしてたものは文字化け等あったので、再アップ。
修論発表会で用いたスライドです。
もし興味があれば、ご覧下さい。
地域の「共食」度合いをSCの構成要素とみなしてモデル化できないか?というものですが、うまくいってるわけではないです。。。







社会貢献でメシを食う
竹井 善昭 / ダイヤモンド社 ( 2010-09-10 )