平成23年度は、寄付税制が改革され、NPO法も改正されたことで、認定NPO法人へのハードルが下がり、国内における寄付文化醸成にも大きな弾みがついた一年であり、さらに社会が変わる可能性を秘めた次の一年になると思います。
とくに、認定NPO法人の仮認定制度の運用開始は、大きな影響があると考えています。
メリット、デメリット両面ね。
メリットは、もちろん仮認定を受けることで実力のあるNPOが寄付を集めやすくなる環境を一応整えることができる点。
これはPSTのハードルの高さもあって、かなり大きなメリットになるのだろうと思います。
一方でデメリットとして考えられるのが、「認定NPO法人」のバーゲンセールのような状況にならないか?という心配。
杞憂に終わればいいのですが、バーゲンセール状態で考えられるのが次の点。
先行者利益
ひとつは、先行者利益。
現在、国内に40,000余りのNPO法人が設立されており、そのうち「認定NPO法人」となっているのは250弱という状況。
パーセンテージにして、1%にも満たないですね。
これが、今年の4月1日からは「仮認定制度」がスタートするので、割合としてはかなり高くなることが推測されるし、期待もされてると思います。
たぶん、ですが。
この先行者利益は大きいように思います。「先行者利益」というとちょっといや~な響きがあるかもしれませんが、「認定」の信頼度を活かして幅広くファンドレイズしようと思えば、これは大きいんじゃないかなぁ、と思います。
ということは、大きいぶん、後発組はそのメリットを十分に享受できるかどうかは微妙かな。
そこがファンドレイザーの腕の見せどころになるかもしれませんね。
あと、先行者利益以上に、寄付市場が活性化されてそんなもの気にする必要もないくらいになることが理想だとは思いますけどね。
プレミア感の相対的な低下
先行者利益に対する後発組の弱さ、という意味と重なる点もありますが、「認定NPO法人」が少ないから、「認定」に対するある種のプレミア感がある、というのが現状のような気がします。
どこまで企業セクターに浸透してるかは不明ですが。
それが、仮とはいえ認定が多産されることで、プレミア感が相対的に消失してしまわないかな、という懸念です。
消失または低下すれば、どうしても先に認定を取っていたNPOに支援が集まりやすくなるような気がしますが、どうなんでしょうね。
対抗策としてのファンドレイザー
上でも書きましたけど、状況はどうなっても日本国内の寄付市場はきっと活性化していきます。
自分で書いて矛盾しますけど、「先行者利益」も「プレミア感の消失」も、ファンドレイザーのアイディアと実践ひとつで何とかなるんじゃないかな、と感じてます。
それくらいファンドレイザーに対する期待を自分の中では強くしています。
NPOが活動を続けていくのに欠かすことのできない存在、それがファンドレイザーとなるのではないか。
研修やセッションを聞いて感じたことのひとつに、ファンドレイザーはNPOの財務部門を統括することも期待されてるのかな。企業で言えばCFO(最高財務責任者)のような役割になるのかも。