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2011-08-22

CI:コーポレート・アイデンティティからコミュニティ・アイデンティティへ


チーズ - 写真素材
(c) jun写真素材 PIXTA



もう、2年ほど前になるのかな。ずいぶんと時間も経過したし、実際には方向転換されたみたいだし、少し力不足に感じたことを思い出したので記しておく。


隠岐のウシと言えば

以前、隠岐で「酪農ができないか?」という話があり、検討チームに加わっていた。
隠岐と言えば、海士町の潮風牛が有名なように、主にというより完全に肉牛生産だけという状況。しかし、島内には加工処理施設がない。あるのは本土の大田市。

そうすると、肉牛が盛んなわりに、畜産“業”としての雇用効果が波及していないのではないか、ということが発端だった。
酪農であれば、どういう商品を生産するかにもよるけれど、飼育・肥育担当、ライン担当、営業担当など波及効果が見込まれる、ということでその可能性について検討を進めた。


放牧 - 写真素材
(c) すずかけ通り写真素材 PIXTA




やはり肉牛

結果的には、酪農には踏み出さず、肉牛生産をより強化する方向で地元は固まったようで、残念だけどいろんな力不足であるので、仕方ないのかなという感覚。

何が力不足かを自己分析すると

  • 酪農に対するノウハウ不足
  • 酪農に関するネットワーク構築能力の不足
  • 十分な熱意とマンパワー
こんなところかな。

地元的には、肉牛生産に対するノウハウが豊かで、経緯的には数十年前に乳牛生産を辞めたということもあり、そこには向かわなかったのだなぁ。


もしかしたら安心できる地域から供給できていたのかも

少し話は飛ぶけれど、福島原発の関係であちら方面の乳牛もかなり厳しい状況にあるようだ。
そんな時、もし隠岐で着手できていたら……と思うと、国内の自給率をあげられるほどの生産力はそう簡単に得られないにしても、地元自給率と、余剰分を少しでも安心できる地域で生産されたものとして供給できていたのではないか、と思うと力不足が今になって口惜しい。

個人的には、隠岐での酪農には可能性を感じていたのだけど、それをうまく説明できるデータを作れなかったこと、自分の知識不足等もあり、みすみす逃してしまったのではないか、そういう思いがどこかにこびりついている。
商品のラインナップなんかも楽しみながら考えたりして、なかなか楽しい経験ではあった。

当時作成した資料より 商品展開イメージ

ブランド戦略・コーポレート・アイデンティティ

当時は、ちょうど島根県の中小企業団体中央会主催による農商工連携セミナーにも参加していたので参考になる話やブランド構築、マーケティング戦略など多くあった。

自分の中ではこの時はじめてまともにブランド構築、マーケティング戦略の重要性を認識できたのかもしれない。

その時に考えたアイディアのひとつが、隠岐のテーマカラーを設定し、それを中心にCI構築、マーケティング展開、メディア対応などをしたら、ひとつのまとまったイメージとして隠岐を売り出せる、そんな風に思い描いた。
自分の中ではやはり隠岐は海、ということもあり「OKIブルー」というものを創り出せるとおもしろい、そう考えていた。

その経験を無駄にしないためにも、隠岐ジオパークの戦略構築においては、こういう考え方を導入し、戦略に基づいた事業展開をしてもらえるよう提案していきたい。

地域においても戦略は必要だと思っている自分としては、CIを単に企業のブランド構築としてのコーポレート・アイデンティティと捉えるのではなく、コミュニティ・アイデンティティとして捉え、地域としての価値を再定義する、そんなことも必要なんだろうと思う。

だから、実は隠岐ジオパークがいま募集しているロゴマークも非常に重要だと思う。
できることなら募集前に戦略、CIを議論しておければ良かったな、とこれまた自分のいたらなさに口惜しい。